銅管恐るべし！8時間に及ぶ作業でも治る事のなかった湯張り時に出てくる黒いカスの話
30年前後と少し築年数の経過した高級賃貸マンションに
湯張りを押した時にだけ出てくる黒いカスのせいで、
とてもじゃあ無いけど入浴できないとのクレームがあった入居者様の元へ…
物件の管理会社の担当者様と同行し作業を行ってきました。
このあととんでも無い苦労が待ち受けているとも知らずに…
高級感漂うヴィンテージテイストの浴室
広い居室と床暖などの装備もあって
２機掛けの給湯器
すでに浴室用はクレームの後で交換されていて新品同様です
リンナイ製のリモコンパネルも新品同様
しかし、洗浄前のATP測定では４桁の高いスコアーが…
つまり汚れた配管のまま給湯器だけを交換しても
お湯の経路上には汚れが多く残っていることを意味しています！
やはり洗浄を開始すると
皮脂汚れと思われる茶褐色の汚れが大量に現れ始めました
しかしこの日問題になったのは、
当初から入居者様を悩ませていた黒いカスの存在
やや大きめの黒い粒状の汚れが
茶褐色の皮脂に混ざってまるで”ごま塩”のふりかけのようです
洗浄中も循環アダプターから
黒いカスが決して少なくはない量が毎回止めどなく出てきます
歴代の入居者様のよる汗や入浴剤などの
積年の水溶性の汚れによって、洗浄液の濁りもかなり強く出ていました
皮脂汚れや垢などのタンパク質成分の汚れに混ざって
”黒いカスと呼ばれる汚れはフィルム状のような鋭利な形状をしています
どことなく”ふりかけ”ぽいって思いませんか？
この状態ですでに4時間くらいは経過していたと思います
よくもまあこんなにも汚れも黒いカスも出続けるもんだと….
担当者もどうにか事を納めたくなんとかして欲しいと
スタンスが一貫していたため、
私もとことんやりますか！
と腹を括って後半戦へ
黒いフィルム状のものは、
溶解したりすりつぶせはしないため、
黒い汚れによくあるゴムパッキンなどとは明らかに違う物質のようです
ところどころ見える
緑色っぽいものは緑青（ろくしょう）と呼ばれる銅サビです
このようなことから
銅の配管内部の剥がれによる可能性に焦点を絞って作業を継続
実際に確認してみたところ
浴槽周囲の見える範囲もほぼ銅管だらけ！
聞けば埋設されている配管も樹脂管では無くほぼ銅管とのこと
熱効率が良いため、追い焚き配管にも銅管が積極採用された
時期が過去にあったようでたまにこのような機種を目にしますが、
おそらく金額的にも当時高額だったのかあまり多いといった印象はありません
洗浄も後半に差し掛かると
徐々に皮脂や垢の排出は少なくなる一方
”黒いカス”と呼ばれた忌々しい黒い粒の勢いはあまり衰えませんでした
万が一この状態が一向に改善されないようであれば、
すでに給湯器は新品に交換されている為、
埋設された追い焚き配管である銅管の交換も視野に入れて
考慮する必要性が高まり、そうなると床や天井を剥がしての大工事となって
莫大な費用がかかってしまうといった最悪の事態を招いてしまいます。
そのため、なんとか入浴可能なレベルまでは
黒いカスの排出を抑制する必要があったのです！
作業が7時間を過ぎた頃には
何度も洗浄を繰り返しているため
ATPスコアーは大幅に改善しシングルスコアー
にも関わらず、黒いカスままだ健在
このあと徐々に湯張り時に出てくる黒いカスも減りはじめ、
何とかこれなら入浴できるのではというレベルにまで改善した為、
担当者さんが入居者様に事情を説明し本日は作業終了
ということで、
コチラの写真よりは何とか状況が改善し
完璧では無いものの、長時間の作業がやっと終わった
と安堵の表情で帰路についた矢先、ものの3分もしないうちに
帰り際に見た時は確実に黒い汚れの排出はある程度治まっていたはずなのに…
再度入居者様が湯張りをしてみたところ、振り出しに戻っているとの入電があり
管理会社の担当者さんが入居者様宅にリターン…
私もそれに追従するカタチでリターン
ここからさらに作業を再開したことは言うまでもありません！
この日は風呂釜洗浄スペシャリストとしての技は余すところなく出し尽くしたものの
それでもどうにもならないこともあるのだと…
過去トップ５に入る難作業でしたが、
銅管内壁の剥がれが原因と思われるため、
洗浄によってこの先完全に状況が改善する見込みは
おそらく低いのでは無いかと思います。
しかしながら、同時代に建てられた物件でも、
今後同様の症状が多発する可能性も大いに考えられるため、
対処方法の情報収集は継続していきたいと思います！
あえて正確な数値を刻む医療機関や検査機関でのみ利用される
測定器を用いた作業を行うのは、
本当の安心、安全をお届けしたい気持ちと、
そこまでお客様と向き合う覚悟があるからに他なりません！
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□■□■□■ 黒いカス洗浄の施工事例 □■□■□■
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